山の茶園で出会う事が多い虫のひとつが「ハチ」です。中でも馴染みなのが「クマバチ」。子供の頃「クマンバチ」と呼び、大きくてちょっと怖いイメージがあったのですが「刺された」という話しを聞かないハチでした。刺されるのはミツバチやアシナガバチの仲間で、どれも悪戯に捕まえようして刺されるパターン。クマバチはその雰囲気から手を出さなかったのかも知れません。(※スズメバチもクマンバチと呼ぶようですね。石部のまわりではクマバチをクマンバチと呼び、スズメバチはそのままスズメバチでした。山間ではスズメバチをフエドというところもあったような?)
さて、このクマバチ。大型のハナバチの仲間でとてもおとなしい性質とのこと。ハナバチは花粉や蜜を集め、幼虫の餌にするハチ。ミツバチ・ハキリバチ・マルハナバチ・クマバチなど。体は一般に毛で覆われて花粉が付きやすく、花粉媒介に役立っています。お茶の花から花へ。自家不和合性の茶が実をつけるための手伝いをしてくれた虫達のひとつでしょうね。
一斉に芽吹き一色に染まる茶園というのが一般的な新茶時期の光景。でもこれは品種導入後の園地風景です。(※このあたりは桜のソメイヨシノにも似ていると以前にも書きました。)在来と呼ばれる固定されていない品種の園では芽吹きの時期や新芽の色も様々だったのです。
ハチ繋がりの話題ですが、農薬の使用によって肉食のハチ(カリバチ。狩りをするハチ)を見かける事が少なくなったとある生産者から聞いた事があります。お茶の生産の為にハチを駆除する事はもちろんありません。理由は肉食のハチが補食するイモムシなどが農薬によって減ったからだろうとの事。
野生の生き物が暮しやすい環境は(バランスして生存している環境)人にとっても暮しやすいのだといわれます。その為に出来る事を今の自分が置かれた状況からも探していきたいものです。昨日の5/7のowner's talkで無農薬有機栽培について少しふれましたが、無農薬有機は生産されたお茶の安全性の為にするのではありません。正しく農薬を使用していれば現状のままでお茶は十分に安全だからです。その意味は環境負荷を減らし次世代が安心して暮らせる環境を残していくためです。この問題は個人の健康といった狭い視点ではなく、もっと先を見つめ広い視野で考えていきたいものです。 |