日本茶専門店 錦園石部商店 
titel 本山の新茶「清沢」
清沢無農薬有機栽培茶園
2006年5月6日撮影
清沢無農薬有機栽培茶園
2006年5月6日撮影
 静岡市を流れる安倍川上流域の茶産地を本山茶産地と呼びます。「安倍川」には大きな支流「藁科川(わらしながわ)」があり、藁科川は中洲にある「舟山(ふなやま)」付近で合流。以降の下流は「安倍川」となります。この2本の川の上流域が本山茶産地です。本山茶産地内でもお茶のキャラクターはかなり異なります。(業者レベルでは「安倍川上流域の玉川」と「藁科川上流域の清沢」はその形状、味わいともに全く別のお茶といってもいいくらいに違います。)なかでも清沢方面の園地を回っていて気がつくのは茶葉の「青さ」。この色は土質によるものなのではと思われますが詳細は不明。パンチのある玉川に穏やかでやさしい清沢をブレンドすると奥行のある味わいのお茶になります。面白いものです。

 さて、画像は清沢にある無農薬有機栽培の茶園です。この園では5月6日より幼木園の手摘みが始まりました。霜の害が心配されましたが概ね良い様子。山間地ゆえに霜害の起きた時点でまだ芽が大きくなっていなかった事が吉となったようです。雨後には本格的な摘採がスタートするとのこと。期待したいところです。

 茶園を見ていると色んなモノにも出会います。手に有るのは「髪の毛病」。発生しても茶樹への影響はほとんど無いと言われています。
髪の毛病の菌糸束
 病原菌は(マラスミウス クリニセクイ)手触りもまるで硬い毛みたいです。これが入っていたら「髪の毛?」と思われるかも知れません。ただ、ほとんどは摘採面の下にしかないので製品に混入することはあまり無いでしょう。※画像は今回の園地のものではありません。念のため。

 屋外にある永年性の農作物である茶の園地には常に虫や菌がいます。つまり特定の虫や菌が大量に発生するのか、バランスしているのかです。病気や虫に負けない健康的な茶樹を育てる。品種や資材を利用し病気や虫が発生し難い環境を作る。どれもとても難しい事です。慣行の栽培に使用出来る農薬が使えない「無農薬」が難しいとされるのは「病気」や「虫」の発生に対して特効薬が無い事です。丹精し、育てて来た茶樹を守れない辛さは言葉にならないものだと思います。無農薬有機栽培を選択するというのはとても「勇気」のいる事なのです。

 勘違いしないでほしいのは「放任栽培」と「無農薬栽培」は全く異なります。時折、そんな大間違いな商品も見受けます。適当な物語をつけて放任の荒れたような茶園から葉を摘んで売るなどというのは都合のいいただのお金儲けでしかありません。無農薬有機で慣行に負けないような美味しい良いお茶を作る努力をする。そこにこそ技術としての「農業」があるのです。

 2006年05月7日 石部健太朗



良い道具による充実のティータイム


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