Nishikien.com 茶専門店 錦園石部商店  店主 石部健太朗(日本茶インストラクター#02-0362) お茶にまつわる様々な事柄。〜owner's talk〜 
titel 育つ急須・大切にしたい日本の技
比較画像
GIFの画像でわかりにくいのですが手前が新品で、奥が数カ月使用した同じ土の急須。色艶の深まり方はちょっと驚きを覚えます。この世にたったひとつの急須であると実感します。
 いいなと思う急須って中々に見つからないものです。

 急須とは?・・・「日常雑器なのか、工芸品なのか、芸術作品なのか。」

 石部の中にあるもっともシンプルな答えは「お茶をいれるための道具」。さらに言うのであれば、お茶という「半完成品」を「完成品」とするための「調理器具に極めて近い道具」。期待される機能の一部として、

  • いれるタイミングできっちりと浸出液を「切り取れる」機能。(細かく広い陶製の茶漉し)

  • 手首の回転でいれる事を考えたバランスの良い軽さ。持ちやすさ。(本体の軽さと取っ手の長さ)

が上げられます。その他の「良い道具とは?」のコンセプトは揺らぐ事無く、鋳型による「錦園オリジナル急須」、次のステップである「職人急須・宝生庵」。ともに精度をさらにあげてより良い道具へと階段が登れています。(製作担当の方々には感謝の気持ちでいっぱいな石部です。)

 常滑の急須は使っていくほどに使う人に馴染んでんで、色艶を深め美しくなっていきます。気がつけば同じものは2つと無い。(※製品誤差が少ないだけで、鋳型の急須も厳密には同じではないのです。)

 人が手で作り出す品は決して同じにはなりません。そこがまたいいのです。「一期一会の味わいのお茶」にはそれにふさわしい「一期一会の茶器」。そんな器を使うお茶の時間は、ちょっと嬉しい時間になると思いませんか?

 急須だけではなく日本の伝統技術や生産環境など失ってしまったら2度と戻らない大切なものが無くなろうとしているように思えます。そんな中、自分は何が出来るのか?ちゃんと考えていきたい事柄です。

<追記>
 昨年度、常滑にて急須を作る職人の方々を対象としたお茶のセミナーを開催する事が出来ました。茶器を作る方達がお茶について知る事はその後の商品製作に必ず、活きるはずとの願いが通じたセミナーでした。内容は一般的なものではなく、茶種、品種によるお茶の味香りの多様性。湯温の違いによる茶葉の変化と味香りの比較など。(茶業者が使用する審査用具を使用。)様子等を紹介したサイトがございますので、ご参考までに。

関連サイト:常滑急須プロジェクト

2005年5月1日 石部健太朗



良い道具による充実のティータイム


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