テーマ
稀少品種茶「水見色かおりと摩利支」そして素材厳選のケーキを愉しむ茶話会
認定番号
02-0362
報告者名
Ken Stone
スタッフ
アンジュローブオーナー斉藤御夫妻、近藤なおさん
活動日時
14/06/22(土) 13:00〜18:00
主 催 者
ケーキ専門店「アンジュローブ」
錦園 石部商店
会  場
ケーキ専門店「アンジュローブ」2F喫茶ルーム
対 象 者
茶話会出席希望者
参加人数
14
使用資料
(教材)
  • 茶話会へようこそ!(自作資料:内容は使用するお茶の説明、及びケーキの説明)
使用資料
(器具)
-
スタイル
その他
概 要
特長ある「品種茶」を紹介しつつ、素材にこだわったケーキを愉しんで頂く茶話会の3回目。
質問内容
-
質問への対応
-
感 想
『ケーキ専門店で、日本茶とケーキを合わせて愉しむ茶話会を開いた理由について。』

 素材にこだわったお茶とケーキを愉しんで頂こうという主旨の元に始まった茶話会になります。お茶はスペシャルなものを日本茶インストラクターが呈茶し、ケーキはケーキ職人による茶話会オリジナルの限定品を楽しんで頂いております。

 この「スペシャルなお茶」というものについてですが、現在は「品種」と「栽培及び製造方法」について着目をしてます。ここ3回は静岡市水見色で生産される「摩利支」と「水見色かおり」と言う品種をとりあげています。

 一般の方にはあまり知られていませんが、お茶には実に様々な風味を持った品種が有ります。これまで皆さんが親しんでいるお茶は「やぶきた」とよばれる品種がほとんどでしょう。お茶の味のスタンダードといえば、「これ」といった状態です。

多くの方は
「日本茶とケーキ?何を奇をてらった事を」
とお思いになるかもしれません。確かに「やぶきた」をこれまで通りの製法でつくったお茶の風味は、洋菓子よりも和菓子にあうものでしょう。

「摩利支」と「水見色かおり」はともに、これまでのお茶とは全く違った方向性をもった風味のお茶です。

 茶話会中もお客様から聞かれる感想のほとんどは
「日本茶にこんな味のお茶があるとは知りませんでした。」
そして、
「ケーキにも合いますね。」
でした。

 これは既成の概念にとらわれず、その特長を引き出した栽培と製造をすれば、多様化した食文化や生活スタイルにマッチする新しいタイプの日本茶を作り出す事が可能性が十分にあると言う事を意味するのだと思います。


 摩利支と水見色かおりについて言わせていただければ、より良質なお茶を作る為に「自然仕立て」といわれる茶の木一本一本が自然の木のように立った状態に栽培し、摘み取りもすべて人の手による手摘みです。製造も一回一回を小型の機械で作り、クオリティを高めて作りあげます。
特に水見色かおりに関していえば製造工程に日干萎凋と呼ばれる工程をとりいれ、独特の香りの発揚に繋げています。

 手間ひまも掛かる製法ですが、それゆえにここまで深い味わいと感動を人に与える事が出来るのです。もちろん、非常に高価と言える価格帯のお茶です。このお茶はともに5000円/100gのお茶です。もちろん、十分にその価値はあります。(摩利支は300kg、水見色香りは一番茶で20kgしか製品として出来上がりませんでした。)

 私のような専門店にとってパートナーである製茶問屋の方のお言葉なのですが「お客様の数だけお茶がある」と言われた事があります。まさに同感で、付け加えるのであればお茶の数だけ愉しみ方もあるのではないでしょうか?

 私は生産者が新しい品種育成にチャレンジしても、これまでの「やぶきた」を中心とするお茶の製造方法であったり、やぶきたと同じ愉しみ方しかいかないのであれば、いずれは行き詰まるようにも思います。「やぶきた」とくらべてダメではなく、全く違う視点から別の品種のお茶を見直し、活かして行く事はとても重要です。どんな品種であっても採算ベースまで育て上げるには、まず10年の月日が掛かります。10年後にダメというのではなく、「このお茶はこんな製法をすれば、もっと特長を引き出せる。」とか、「こんな愉しみ方をすれば面白い。」といった生かし方も有りなのではと思います。

 そして、お茶の素晴らしい特長を、これまでの入れ方にとらわれずに愉しめる方法や場所を提供していくのも日本茶インストラクターの仕事であると思っています。お茶に美味しい入れ方などはありません。その特長を活かしてあげる愉しみ方があるだけです。煎茶だけでも多種多様な品種があり、様々な特長があるのに、そのお茶の入れ方が決まりきったように「70度で一分間」なんて筈があるはずが無いと思いませんか?

 「お茶は皆さん(これは一般の方だけではなく、茶業者も含めてです。)が思っているよりずっと自由で愉しいものですよ。」というのが実は今回のような茶話会を開く最大の意味ですね。
勘違いなさらないで頂きたいのは、やぶきたがダメといっているわけではありません。やぶきたのように懐の深いスパースターのようなお茶は無いと思っています。やぶきたは素晴らしい、でもそれだけが日本茶の味で無くてもいいのではないですか?もっと自由にお茶を愉しみましょうといいたいのです。私はお茶より面白いものはちょっと無いと思っていますので。


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