日本茶専門店 錦園石部商店 
titel 2006年 築地東頭
手摘み摘採の様子
 標高800mの茶産地、静岡市東頭。錦園において一〇八夜の手摘みの茶「築地東頭(つきじとうべっとう)としてご案内をしております。2006年は5月23〜30日の摘採となりました(間に雨天による2日の休みがあり実質5日間)。
東頭にて
健やかに育った新芽。一種の感動を覚えます。

 清々と伸びた新芽。標高800m山間の大気。土地と人が育んだ茶園。精度の高い摘み採り。優れた技術による製造。畑での美しい姿を思い浮べる事が出来るお茶は「当たり前の事を当たり前にする。」厳しさから生まれます。
摘採された生葉

ちょっと珍しいものをご紹介。東頭にある「コーロ」です。
 「コーロ」と呼ばれる茶です。(今回はやぶきたから枝変わりで出来たと思われます。)緑茶の事典によると「唐茶、にが茶とも呼ばれる。成葉は大きくて丸く、葉面の波曲が大きいので普通の茶葉とは明らかに区別される。タンニン含有量が高く、花がほとんど咲かない。これらは単一のコーロ型遺伝子によって発現したものである。」とあります。事典の内容でよく分からない部分がありますが、確かに葉の形状、花が咲かないという点はこのお茶の特長と合致します。

組合長の築地さんと工場長の豊さん。
横沢共同にて

組合長にして東頭の園主、築地勝美さんと石部。築地さんは玉川の親分といった存在の方です。

横沢共同にて

 摘採された東頭の新芽は横沢共同に運ばれ、製茶作業に入ります。蒸し時間は約14秒。詳細は割愛しますが、蒸し機を見ると実際には数秒である事が想像出来ます。(これであっても「若蒸し」ではなく「普通蒸し」です。)横沢共同のお茶づくりが凄いと思うのは、東頭であれ、一般のハサミ(機械摘採)の生葉であれ製造においてはなんら変わらないと言うところです。(※蒸し時間の点でのみ築地山峡を除く。)故に園地での違いを実感も出来ます。
横沢共同にて
工場長の豊さんの手の中の築地東頭

 手から逃げて行くような滑らかな手触り。硬いのに柔らかい。乾いているのにしっとりとしている不思議さ。これこそが築地東頭です。錦園は様々な品種、製法のお茶をご紹介しておりますがαにしてΩの茶はこのお茶であると思っています。そして、まんぱちを始まりとした蒸し製法の理想型がここにあるといっても過言ではありません。今年もこのお茶が出来た事がただただ嬉しく思います。



東頭にて

 2006年06月08日 石部健太朗



良い道具による充実のティータイム


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