Nishikien.com 茶専門店 錦園石部商店  店主 石部健太朗(日本茶インストラクター#02-0362) お茶にまつわる様々な事柄。〜owner's talk〜 
titel 手摘みのお茶
お茶の摘み採り方法は現在、おおよそ
  • 手摘み
  • 手バサミ(茶バサミ)
  • 可搬型摘採機
  • レール式摘採機
  • 乗用型摘採機

に分けられます。手摘みは指で茎をつまみ、ひと芽、ひと芽を摘み取る方法ですから、葉を切る事無く、クオリティの高い生葉の収穫が出来ます。ただ反面、一日に一人当たり10〜15kgしか摘み採りは出来ません。60kgの製茶機械を1回動かすのに生葉が約50kg必要とすると約5人の労働力が掛かる計算になります。仮にお茶摘みさんに1日8,000円支払うとして、4万円は人件費。1番茶は生葉の約1/5が荒茶になりますので、50kgの生葉から出来る荒茶は10kg。つまり摘採だけを考えても1kgに対して4,000円のコストが掛かる事になるのがわかります。(荒茶の出来不出来は全く別として)

あわせて手摘みの欠点として「時間が掛かる」という事が挙げられます。鮮度が要求される緑茶の製造において、摘採後の生葉管理は製品の良し悪しに直結します。手摘みの生葉が製茶前に痛んでしまったというのはよく耳にします。

世界で最も高い労働コストの国で「手摘み」による茶葉の収穫は時代遅れなのかも知れません。(実際、生産家の収入で手摘み摘採のお茶の占める割合は2%に過ぎないケースもあるとのこと。)

以上を鑑みて、「手摘み」の価値とはなんなのか?それはやはり「手でしか出来ない仕事」をしているという事。機械では出来ないから「手」でする。自然仕立ての茶園は手でしか摘採が出来ないし、強烈なまでの芽重型の園の生葉は手摘みによって非常にクオリティの高いお茶になる可能性を持ちます。

そして、それだけの価値のあるお茶を世に出して行く、扱っていくというのは生産者、専門店にとって自信にもなると石部は信じます。

今シーズン、錦園は「手摘みのお茶」を出来るかぎりラインナップにいれて行きます。もちろん、「手で摘んだから良い」のではなく「手で摘んだからこそ出来たお茶」をご用意します。ご期待ください!

広げた風呂敷はちょっと大きいかも??

2005年5月16日 石部健太朗



良い道具による充実のティータイム


(c)2000-2005 Nishikien. ALL RIGHTS RESERVED.