結びに

 なぜ今回の台湾への研修に参加させて頂いたのか?御茶屋をしている私にとって以前より大きなテーマが2つ有りました。それは「後熟」(=緑茶の熟成)と「萎凋香(いちょうか)」です。(前者については今年の「口切りの儀」のお手伝いをさせて頂きながら「後熟」についての知識を深めさせて頂ました。)

 では後者の萎凋香とはなにか?
台湾のお茶「包種茶」にはなんとも言えない「花のような香り」を持つものが有ります。(ジャスミンティーに代表される「花茶」や紅茶の「着香茶(センテッドティー)」では有りません。)この「花のような香り」こそが「萎凋香」なのです。茶葉を摘んだ後、葉の萎れ方をコントロールし、「香り」を引き出す方法を台湾では既に完成しています。この「花の香り」は後から付け足したものでは無く「お茶」自体が内在するモノだという事に気付かされた時の衝撃は今でも忘れる事が出来ません。

 萎凋香については本文中にも有りますが、7月の徐先生の講演を聞いて以来、「いつかは台湾へ足を運びたい」と思うようになっていました。そんな折りに、「口切りの儀」でお世話になった静岡本山茶研究会の大棟会長の御提案で「台湾へ文山包種茶の研修に行きたいのだ」と企画が持ち上がり、一気に台湾行きが決定する事になったのです。文山へ行き感じた事は、大棟会長がおっしゃた通り、正に「百聞は一見にしかず」と言うものです。現地に足を運んで得た知識は非常に貴重で有り、また、本山茶研の生産家の方々と御一緒させて頂いた事によって生産家のお茶に関しての情熱にも改めて触れる事が出来ました。

 そして、今回大きなヒントを得て静岡に戻って来たメンバーが大勢いらっしゃいます。来年のお茶のシーズンが楽しみになってきました。来年は21世紀、明るい未来が見えてきそうな予感がします。

 最後になりましたが、現地にてとても親切に御面倒をみて下さった徐英祥先生、黄正敏先生、今回のチャンスを下さった本山茶研究会の皆様方、段取りで大変御苦労をお掛けした山梨さん、本当にありがとうございました

2000年11月16日

錦園店主 石部健太朗


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