東方美人のお話し

 午前11頃に生葉コンテナを目にしてからお茶が出来上がったのは、翌日の午前1時過ぎでした。雨だった事も有り萎凋の工程に長い時間が取られてしまった様です。

 萎凋待ちの時間に東方美人のお話しを徐先生がなさって下さいました。
「東方美人」
 東方美人茶は実に多くの名前を持つお茶です。ウンカに新芽を加害(この場合、加害では無いですね。)された茶葉を強発酵させて作るのが東方美人なのですが、このお茶は他のお茶には無い独特の甘味や香りを持つ事で知られます。このお茶を生産するにはウンカは必要不可欠であり、この事は農薬(殺虫剤)の使用が出来ない事を意味します。(品種の違いも有り一概には言えませんが、生産家の方にうかがった所、日本茶で芽がウンカに加害された物をお茶にするとひどい苦渋味を持ってしまうとの事でした。)

以下は全て「東方美人」に付けられた名前です。
「東方美人(読み方はトンファンメイレンやとうほうびじん)」
「オリエンタルビューティ」
「フォルモッサウーロン」
「椪風茶」
「香濱烏龍茶」シャンピンウーロン。シャンペンに似た語感として。(実は黄先生の命名!)
「着園茶」(病気のついた=ウンカにあったの意味)
「椎風茶」(ほら吹き茶=当時の他の茶種に比べて驚く程の高価で取引をされたことに由来するのではとのこと)
「膨風茶」
「福寿茶」
「ポンホン茶」等々。

製法自体は烏龍茶と東方美人は変わらないのに出来上がったお茶は大きく異なります。その理由は現在でも未解明との事です。単なる芽の部分の水分減少によるものとは考え難くウンカの体液やその他の原因が有るのでは無いかとの説が有ります。


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