日本茶専門店 錦園石部商店 錦園 石部からのメッセージ

 2003年3月27日〜4月16日にかけて、日本茶インストラクターの掲示板にて行われたやりとりです。長文ではありますが掲示板にそって流れてしまってよい話題ではないと考え、HP内に保管しました。本文中でもっとも気になるのは産地とは「製茶工場のある場所」が産地としている点であるように思います。このことを「製造工場立地主義」としておりますが、産地表示をするのであれば茶園の所在地を産地とすべきでしょう。

 今回の表示基準については「試案」との事です。日本茶インストラクターとして、お茶を生業とするものとして自らの考え、そしてお客様のお考えを伝えていけるようにしたいと思っております。


茶業中央会発表緑茶に関しての表示基準
日本茶インストラクター掲示板への書き込み記事より。
表示について 投稿者:石部健太朗 投稿日:2003/03/27(Thu) 09:34 No.48

今朝、新聞で読んだのですが中央会として決まった表示基準について確認をさせて下さい。
表示基準が良い悪いというのではなく、イベントなどで質問をされる事もありますのでよろしくお願いします。
<1> 産地銘柄の定義
最終的に仕上げ茶を製造した地名を産地名とし、その地名を冠して「産地銘柄」とする。
これは具体的に、他の地域で製造された荒茶が静岡や宇治などで「仕上げ」をした場合、「静岡茶」や「宇治茶」と表示してよいということでしょうか?
<2>産地銘柄のブレンド要件
産地銘柄を表示する場合は、国産であって、当該都府県産の原料の使用割合が50%以上であること。
・原料とありますが「荒茶」でしょうか?それとも「生葉」でしょうか?
・荒茶を生産する「製茶工場」の有るところが「産地」となるのかそれとも、「茶園」のあるところが「産地」となりますか?
例えば、他の産地の生葉が冷蔵コンテナなどで運ばれ静岡で荒茶とされた場合それは「静岡茶」となるのでしょうか?
<3>「産地銘柄のブレンド要件」として50%の割合についてが語られていますが「産地銘柄の定義」で「最終的に仕上げ茶を製造した地名を産地名」とするとあるのであれば意味をなさないのではないでしょうか?
<4>「表示違反」についてを確認する方法はあるのでしょうか?静岡産の「やぶきた」に鹿児島産の「やぶきた」がブレンドされその比率が3:7であった際にそれを知る事は可能ですか。
15年度は試行期間との事ですので、私自身一般の方々に御意見をうかがいたいと思っております。その為にもお答えのほどお願いいたします。


茶の表示回答 投稿者:(社)日本茶業中央会 投稿日:2003/04/03(Thu) 10:02 No.50

1 産地銘柄の定義について
(回答)「緑茶の表示基準」(改正試案)では、産地銘柄を表示する場合の必要条件として2つ要件を定めています。その要件は、@産地銘柄の呼称の決め方とA表示する場合の具備条件で、この2つの要件はセットになっています。従って、産地銘柄を表示する場合は、この2つの要件が整った場合に表示することができます。
(注)実施細則の産地銘柄の項参照
2 産地銘柄のブレンド要件
(回答)*原料とは、仕上げ茶は、荒茶を原料として仕上げ加工するものものですから、
この場合は「荒茶」です。
* 産地とは質問の趣旨が、産地銘柄の要件の産地だとすれば、仕上げ茶製造工場のあるとところが産地です。また、原料(荒茶)の場合は、荒茶工場のあるところが産地です。要すれば製造工場立地主義で整理されています。
(注)表示基準の第2条の定義参照
3 「最終的に仕上げ茶を製造した地名を産地名」について
(回答)1を参照のこと。なお、産地銘柄を表示する場合は、ブレンド要件を含む2つの要件がセットになっていますので念のため申し添えます。
4 「表示違反」について
(回答)本実施基準は、表示の適正化という社会的要請に応え、茶業関係団体の代表が集まり自主的に定めた基準であります。また、表示は、表示者の責任において自ら律して行うものであることを理解して頂きたいと思います。なお、表示を適正かつ円滑に推進するため、茶業関係者及び消費者代表等を構成員とする表示適正化推進委員会を設置して適切に対応することとしております。
p.s表示関係は社団法人日本茶業中央会へお願い致します。


Re: 茶の表示回答 石部健太朗(認定番号02-0362) - 2003/04/05(Sat) 23:14 No.57

私の読解力が悪いためか、今一つ理解が出来ません。つまりはこういう事なのでしょうか?
<1>
「@産地銘柄の呼称の決め方とA表示する場合の具備条件で、この2つの要件はセット・・・」
一例として「静岡茶」を産地名柄として使用する場合、
静岡県産の原料の使用割合が50%以上であり、なおかつ仕上げ加工地が静岡であった場合に「静岡茶」となる。この2つの条件を満たしていなければ「静岡茶」の産地名柄は使用出来ない。
ということでしょうか?回答ではこのように読み取れました。
この場合、静岡で嬉野茶を仕上げをした場合、「嬉野茶」の名称が使えない事になるのでしょうか?
<2>
・・・・要すれば製造工場立地主義で整理されています。
この場合、他産地の茶園の生葉が製茶工場の有る場所で、荒茶とされた場合、製茶工場の有る場所が「産地」となると言う事ですか?
とすれば、茶園がどこにあろうと、製茶工場のある場所が産地となると言う事になりますが、今回の改正試案はそうであると理解していいのですか?
※実は現在、個人活動として呈茶のイベントをしているのですがそこにいらっしゃった方に、以上についての質問をされて答えに窮しました。一般的なお客様の反応としては、茶園のある所が「産地」であり、それが極普通の認識だとの事。私も個人的にはこの考えが自然なように思います。「茶園所在地主義」とした場合、どのような問題が発生するのでしょう。
<3>
はつまり、<1>の内容ということですね?
<4>
質問の『静岡産の「やぶきた」に鹿児島産の「やぶきた」がブレンドされその比率が3:7であった際にそれを知る事は可能ですか。』これは、現実的には難しいと理解していいですか?
試案についての批判と受けとられてしまいますと誠に心苦しいのですが、一般のお客様(セミナーを受講してくださる方を含む。)に対して明確な答えが出来ず、インストラクターとして困るケースがございます。
日本茶インストラクターは『社団法人日本茶業中央会が定める「日本茶インストラクター認定試験」に合格した方を認定します。』とあります。お手数ではございますが、ご回答のほどお願い申し上げます。


Re: 茶の表示回答 (社)日本茶業中央会 - 2003/04/09(Wed) 19:11 No.60

No.57への回答です。
<1>について
読み取りのとおりです。
<2>について
“荒茶”を製造したところを基点にしています。
<4>について
試案の意図しているところをご理解いただきたい。


Re: 茶の表示回答 石部健太朗(認定番号02-0362) - 2003/04/09(Wed) 21:38 No.63

回答ありがとうございます。
小島さんの質問に併せまして、確認をさせてくださいますようお願い致します。
<2>
「静岡で嬉野茶の仕上げをした場合、「嬉野茶」の名称が使えない事になる。」ということですね。
静岡で嬉野産のお茶に対して、何ひとつ他産地の茶を加えずに、仕上げをしたとしても「嬉野茶」の名称を使用出来ないと理解してよろしいでしょうか?
<4>について
試案の意図しているところをご理解いただきたい。とはどういった意味合いでしょうか。
現実において、お客様と接し類するような質問がされております。相対します年齢層も様々でありますので、分りやすいお応えを頂けますと助かります。重ね重ね、お手数ではございますがお応えのほどお願い申し上げます。


緑茶の表示基準 (社)日本茶業中央会 - 2003/04/15(Tue) 16:35 No.74

質問を基本に戻って整理しました。 
1 表示は、JAS法に従って、これを遵守することが基本。
  また、茶は加工食品であることから、JAS法に基づく「加工食品品質表示基準」
(平成12年3月31日農林水産省告示第513号)による義務表示事項の理解が必要。
2 試案の性格
今回の改正試案は、自主基準として策定されている「緑茶の表示基準」(平成7年)を
改正しようとするもので、あくまでもJAS法に即するほか、業界として統一的な基準
を定め、消費者の選択、購入に役立てるための表示基準です。なお、本年は、試案と
して提案し、皆様の意見を聞いたうえで、16年度により充実した表示基準を改正する
予定。したがって、この試案には、検討課題がまだ残されており、本年は、専門部会
等でさらに検討することになっている。(15年試行期間の設定)
3 試案の内容
(1)義務表示事項
   一括表示事項について、用語(名称、原材料名等)等具体的な記載方法の統一。
(2)任意表示事項(試案基準第3条の2)
@(1)の名称以外について規定(例えば「新茶」の定義等)
A 産地銘柄の呼称と要件
ア 産地銘柄は、都府県、市町村の行政区域を越えて使用されている場合や、産地銘
柄の区域が明確でないもの等今まで慣習的に使用されてきたものが多い。
今回の改正試案は、そのなかで、消費者が一番理解し易い基準として、都府県名
(又は一般名)をもって銘柄とすることにした。(市町村も同じ)
イ 産地銘柄の要件
   「静岡茶」といえば、静岡で生産され静岡で仕上られたという一般消費者の理解(認
識)をも配慮し、最低ラインとして、国産であることはもちろん、「その都府県で
生産された原料(荒茶)が50%以上で、かつ、その都府県で仕上られたもの」の
2つの要件を満たした場合に使用できることとした。
検討課題
* 原料(荒茶)の生産都府県以外で仕上げ茶を製造した場合の原料産地銘柄の
表示方法(委員会検討課題)
* ただし、現在でも、JAS法(告示第5条)に従い「特色のある原材料の表示」
により、「特定の原産地のもの」として産地表示は可能。
* 「○○茶」と「○○(県)産茶」とは区別して使用されていることに留意。
(JAS法)
ウ 茶は加工食品として位置付けられており、加工したところを産地とし、この基準
では荒茶を製造したところを基点にしている。(因みに外国の茶については、荒茶
を製造した国を原産国と定義し、輸入した荒茶は製造国を表示する義務がある。)
なお、表示を義務付けられている者が製造者であること、製造とは、「原材料に手
を加えて新たな物品を作り出すこと」で、この基準では直接生葉を対象としていな
い。
(3)ブレンド(合組み)について
ア ブレンド技術については、茶流通・価格の安定、品質の安定確保等茶の生産・流
通・消費上重要な要素であり、消費者に対しても茶業者が積極的に説明し理解を
求めていくことが必要。
そのためには、100%のお茶と、ブレンドしたお茶をどのように表示するかが課題。
イ ブレンドの内容について
*試案で定めた内容について、自主基準は自らが守るために作成しているもの。
*各産地の茶の判定、同じ「やぶきた」の産地間の差を客観的に判断できる技術は確
立されていない。
なお、現在、野菜茶業研究所が中心となって「野菜・茶・ウメの原産地表示判別技
術の開発」研究を実施している。(研究期間2002〜2004年度)


茶の表示回答 投稿者:石部健太朗(認定番号02-0362) 投稿日:2003/04/16(Wed) 08:24 No.75
返信
(社)日本茶業中央会 御担当者 様
ご回答ありがとうございます。
ツリー内の質問を回答と照らし合わせて整理させて頂きました。私の理解に間違いがございましたら御指摘頂けますと助かります。
私だけでは無く、今回のご回答で表示に関する試案についてインストラクターは、様々な場所でお客様からお考えを頂戴したりするでしょう。
そして茶業者の視点ではではなく、日本茶インストラクターとして個々の考え方もあるかと思います。
そのような意見や報告を吸い上げ、『試行期間後の表示基準設定』に活かす事が出来るようになることを切に望みます。
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<1> 産地銘柄の定義
最終的に仕上げ茶を製造した地名を産地名とし、その地名を冠して「産地銘柄」とする。
これは具体的に、他の地域で製造された荒茶が静岡や宇治などで「仕上げ」をした場合、「静岡茶」や「宇治茶」と表示してよいということでしょうか?
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「@産地銘柄の呼称の決め方とA表示する場合の具備条件で、この2つの要件はセット・・・」
一例として「静岡茶」を産地名柄として使用する場合、
静岡県産の原料の使用割合が50%以上であり、なおかつ仕上げ加工地が静岡であった場合に「静岡茶」となる。この2つの条件を満たしていなければ「静岡茶」の産地名柄は使用出来ない。
※試案では「静岡で嬉野茶を仕上げをした場合、「嬉野茶」の名称が使えない。」
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<2>産地銘柄のブレンド要件
産地銘柄を表示する場合は、国産であって、当該都府県産の原料の使用割合が50%以上であること。
・原料とありますが「荒茶」でしょうか?それとも「生葉」でしょうか?
・荒茶を生産する「製茶工場」の有るところが「産地」となるのかそれとも、「茶園」のあるところが「産地」となりますか?
例えば、他の産地の生葉が冷蔵コンテナなどで運ばれ静岡で荒茶とされた場合それは「静岡茶」となるのでしょうか?
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・原料=「荒茶」
・荒茶を生産する「製茶工場」の有るところが「産地」茶園の所在地を問わず、製茶工場のある場所を産地とする。
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<3>「産地銘柄のブレンド要件」として50%の割合についてが語られていますが「産地銘柄の定義」で「最終的に仕上げ茶を製造した地名を産地名」とするとあるのであれば意味をなさないのではないでしょうか?
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<1> の回答を参照
□□□□□□□□□□□□□□□□
<4>「表示違反」についてを確認する方法はあるのでしょうか?静岡産の「やぶきた」に鹿児島産の「やぶきた」がブレンドされその比率が3:7であった際にそれを知る事は可能ですか。
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「不可能」
各産地の茶の判定、同じ「やぶきた」の産地間の差を客観的に判断できる技術は確立されていない。
なお、現在、野菜茶業研究所が中心となって「野菜・茶・ウメの原産地表示判別技術の開発」研究を実施している。(研究期間2002〜2004年度)
試案で定めた内容について、自主基準は自らが守るために作成しているもの。