現在、茶樹は芽の動きもなく休眠中。新茶時期の萌えいずる新芽の様子と違い、とても静かに見えます。とくに何が変わるでもない刈りそろえられた茶園を観て回ってどうするのかとも思われるかもしれませんが、実は今こそが興味深い時なのです。葉っぱの層(葉層)の厚さ。親葉の大きさのそろい方、刈られた軸(茎)の太さなどなど注目すべき点はたくさんあり、既に新茶の良し悪しはほぼ決まっているといっても言い過ぎではないのです。優秀な生産家は工場でお茶を作るのが上手なのはもちろんですが、園地の様子がまず違います。
新茶シーズンが待ち遠しいような茶園、心配になる茶園、産地を巡っているとその様子は実に様々です。同じ品種で隣り合っている園でも生産家が変われば全く異なります。これは生産家の技術の差ともいえるでしょう。
植物が健やかに育つとどうなるのか、いつ、どのような手を加えると現在の様子となるのかを勉強しながら園の脇に立つと様々なことが見えてきます。新芽が動き始めるとその姿に隠されてしまって見えないところが今なら見ることが出来ます。(※新芽が動き始めたらお茶畝面を勝手に触ったりするのはご法度。新芽はとてもデリケートで簡単に痛んでしまうのです。)
春を待つちいさな芽をみながらその園の数ヶ月後を想像するのも楽しいものです。私はひとつの園のお茶が育ち、製品になるまでをちゃんと追える楽しさを共有できればいいなと思っています。チャンスがあれば園地をご一緒いたしましょう。実に贅沢なお茶の楽しみ方だとは思いませんか?